稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「お金が無くて新しいドレスが仕立てられないとしても、このフリルはみっともないわ」
 ローレル様が、私の服の胸元に、幾重にも重なっているフリルを手に取った。
「リメイクすればいいのよ。フリルは取って、ウエストを搾って」
 リメイク……。
 えーっと、新しいドレスを仕立てるお金がないわけじゃないんだけれど、なんだか結構男爵令嬢だと思われているのは、このドレスがお金がなくて仕方なく着ていると思われているせいなのかしらね?

「あら?」
 ローレル様が、私のウエストに軽く手を当てて驚いた声をあげる。
「フリルに隠れて見えませんでしたが、随分細いウエストね」
 まぁそれなりにコルセットでも締めてますが……。
「貴方たちも見習いなさい」
 ローレル様が、ふっくらとした後ろの二人に声をかけた。
「……見習いたいのはやまやまですが、おいしいものがこの世にたくさんあるのがいけないのですわ」
「お菓子が目の前にあれば、食べてしまうのは仕方がないことなのです」
 と、ちょっとすねたような言葉を二人はローレル様に返している。
「まぁね、貴方たちの家に招かれると、おいしいものがたくさんでてきますものね。通いつめたら私もあっという間に太ってしまいそうですもの」
 ローレル様がふっと笑みを漏らす。
 家をお互いに行き来するような仲なのか。言いたいことも色々言えて……。
 私とエミリーも、そうして仲良くなれるかな。……家を行き来することはできないけれど。
 そう考えると少し寂しくなった。
「まあ、この手首はどうしたの?」
 ローレル様が、私の赤くなった手首を見た。なんとか伯爵に捕まれてアレルギーで真っ赤になった手首だ。
「強い力で、男の人につかまれたのではなくて?」
 強い力……確かに、振りほどけないような力で握られた。