そんな日々が進級して1ヶ月は続いたある日、テレビでとあるオーディション番組が始まることを知った。
将来芸能界で活躍したい10代が様々なことを武器に勝ち上がって、デビューを掴む物語。
あたしのつまらない毎日は、その番組のおかげで色がついたみたいだった。
見た目はもちろんカッコよくて大好きだけど、他の参加者への優しさとか、ちょっと天然っぽいところも素敵でどんどん惹かれていった。
そうして、なるくんに夢中になってると男の子は絡みにこなくなった。
間接的ではあるけど、あたしの状況を救ってもらったような気がして、それ以降、応援したい“推し”としてあたしの中に君臨しているのだ。
もちろんオーディション番組なので、デビュー出来る人はしぼられていく。
デビューが決まるまでの4ヶ月は、毎日固唾を飲んで見守っていた。
「選ばれたメンバーは……一ノ瀬鳴海!」