にがくて、あまい。






なんて?


あたしが呆れた顔をしてしまったからか、なるくんはハハッと声を出して笑った。



「だって一応アイドルだし、と思ったからだけど……なんでそんな顔するの?」


「いや、今更ですよ……。家を出たときからあたしは気が気じゃないですよ」


「そっか。ごめんごめん」



なにがツボなのか、なるくんはさらにケラケラ笑う。


目細めて笑うの超かわいい。顔がいい。

サングラスしてるの残念だ……。

このショットをブロマイドにしたい。


オタク的思考になって、振り払うようにブンブンと頭を振る。



「帰りましょ!ケーキだったらうちにいくらでもあります」


「え〜、せっかく来たのに……。もう帰るの?」



かっ、かわいい………。


なんでも叶えたくなってしまう。だって推しだもん。好きだし。


いやいやいや、こんな人が多いところに居続けるのは危険なんだよ、しっかりしろ翠生!