商店街を突き進みながらも、手は繋がれたままだ。


なるくんは今マスクをしていない。


帽子とサングラスだけだとバレてしまうんじゃ……。



「なーに?翠生ちゃん」


「人は少ないですけど、一応変装したほうがいいと思います」


「なんだ、そんなことか」



そ、そんなことって……!


もし推しとのスキャンダルなんてものが出たら、消えたくなりそうだから……。邪魔になるようなことだけはしたくないし。



「手、繋いでたらドキドキしない?」


「や、それは……」



掴まれていただけの手が離れてホッとしたのは束の間、指1本1本を添わせるように絡めてくる。


気づいたら、恋人繋ぎになっていた。



「さ、行こうか」



い、いやいやいやいや、無理じゃない?


なに考えてるの推し!!!


からかわれてる?あたしがファンですぐほだされるから?



……とは言っても、その手を振り払うことが出来ないのは許してほしい。