「えっ、はい。駅のほうに行こうかなと……」
「へ〜、そうなんだ」
にこやかに相槌を打つ推しアイドル。
ついこの間のツイートがまざまざと思い出されてしまう。なにを抱えているんだろう、と……。
「すみません、ケーキはまた今度買いに来ます。今日は翠生ちゃんをお借りしていいですか?」
「そんなのいくらでも!どうぞどうぞ」
いやいやお母さん、娘をそんな物みたいに……って、え?
いまなんて言った?
「ありがとうございます。よし、じゃあ行こ!」
「えっ」
「いってらっしゃ〜い!」
「ええええ〜〜〜!?」
あたしの驚きをよそに、なるくんはスマートにサングラスをかけて、あたしの手を握った。
着いていくことに精一杯で、どうしたらいいのかわからない。
「あの、なるくん!」