今回は一応天使が勝利した。
あたしはグッと堪えて、かずみんに言った。
「また何かあったら言ってね。大した手助けにはならないと思うけど……」
あくまで受け身で、友だちとして相談してね的なスタイルを貫かないと。ファンとして、ね。
ふう、よく言った。あたし、偉いぞ。
「はは、ありがとう。また迷惑かけるようなことにならないように見張っとくよ」
迷惑をかけたのは気絶してしまったあたしです……。心の中で訂正していたら、担任の先生が入ってきて会話は途切れた。
あとで澪にも説明しよう。待たせた上に先に帰ってもらっちゃったし。
「お兄さんの件、澪には話していいかな?幼なじみで口は堅いんだけど……」
「うん。いいよ」
ちゃんとかずみんにも許可をとったし、これで心置きなく話せる。
というわけで……。
「え、マジで?家に一ノ瀬鳴海が来た?」
昼休みの屋上にて、パンを片手に昨日の経緯を話し終えた。