とにかく推しアイドルとこんなに会話したら頭がパンクしそうなので、早いとこ帰ってもらったほうがいい。


これはひとときの夢だ。


またテレビで歌って踊る姿が見られれば、それでいい。



ーーコンコン



「翠生?和海くんって子がきてるけど、起きてる?」


「えっ、かずみん?起きてるよ!どうぞ!」



お母さんの声に応えたあと、かずみんが部屋に入ってきた。


ニヤニヤしながら「ごゆっくりどうぞ〜」とお母さんは扉を閉めた。



「枝野、ごめんな。兄貴が迷惑かけて」


「えっ、いやいやいや。多分迷惑かけたのあたし!気絶したらしいし」


「チッ、わざわざ来て……」



かずみんが申し訳なさそうにする横で、舌打ちをする推しアイドル。


エッ。


舌打ちとか貴重なもの聞けちゃった……。



「心配してんだよ。家族みんな!そんなこと言うなら連絡くらいしろ。一応有名人だろ」