あたしが元気なことを確認すると、なるくんは部屋をぐるりと見渡す。


そこにはもちろんなるくんのポスターが所狭しと貼ってあるのだけれど。


まさかその現状をご本人が目の当たりにするとは、思いもしない。



「そりゃあ、推しなので……」



貼ってるポスターが膨大すぎて隠すことも不可能なので、照れながらそう言うしかない。


この状況があり得なさすぎて、一周回って冷静になってきた。



「こんなに俺のこと好きな人いるんだねぇ……」


「あ、あの……」


「ん?」



好き。好きだからこそ、知りたい。


活動休止の理由。


でも、そんなことやっぱり聞けない。


偶然出会った一ファンが気軽に聞いていいことではない……と思う。