にがくて、あまい。






家の裏口から出て、商店街のほうへ戻る。


まだそう遠くへは行ってないはずだ。



駅がある方か、学校がある方か……。


どっちに行ったんだろう。


帰るのかな?でも、かずみんのお家の場所は知らないしなぁ……。



これって間接的にストーカーになってる?


いやそんなことない……と思いたいけど行為自体はストーカーに近い……。



「あ、さっきの店員さん」


「っ、えっ!?」



家の前をうろうろしていると、誰かに話しかけられた。


不審者みたいですみません!と思いながら、そちらを見ると、あたしよりも不審者のような風貌をしたさっきの長身なお客さんだった。



ちらっと家のほうを見ると、まだ琉生しか店先にはいなくて接客中だった。


もし本物のなるくんなら、人はまばらとはいえ商店街の真ん中で立ち話するわけにはいかない。



そう瞬時に判断したあたしは、彼の手首を掴んで脇道に引っ張り込んでしまった。


……どっちが不審者なんだ。あたしです。