「おかえり。早かったね。琉生くんが代わってくれたの?」


「そうなんだけどさ……聞いてよ!」



あたしは澪の目の前に座って、ケーキを食べるよりも先にさっき起こった出来事を話した。


すると、特に驚くこともなくケーキを食べて「ふーん」と頷いた澪。



「本人だったのかな?そっくりさんかな?……からかわれたのかな!?」


「う〜ん……。あたしからはなんとも言えないけど、毎日毎日しつこいくらい写真や動画を見てる翠生が推しを見間違えることはないような気がする」


「つまり?」


「本人だったりするんじゃない?」


「…………まっ、まさか〜〜ね!」



ははは、と乾いた笑いしか出てこない。


確かに澪の言う通りしつこいくらい(と言われるのはちょっと不服だけど)なるくんの顔を見ているのは否めない。



ちなみになるくんの出身地は東京の隣県、つまりあたしと同じではあるけれど、もちろん芸能活動をしているので都内住みだろうし。


あ、でも休止するんだっけ……。とさっきの悲しみが襲ってきて、感情が忙しい。