そもそも似てる前提で考えてるけど、本人だったらどうしよう。
なんで活動休止したか聞く?……いや、そんな不躾なこと聞けないでしょ。
ファンですって言ってサイン貰う?……いや、そんなミーハーな感じも嫌だし。
「ありがとうございましたー!」
琉生がお客さんを見送る声でハッとする。
あ、なるくん似の人が行ってしまう……。
「ほら、あと俺が店番するから。ボーッとして、そんなに一ノ瀬鳴海のことがショックだったのか?」
「へ?」
「澪ちゃんも待たせてるんだろ」
カラン、とドアについたベルが鳴って、その場に長身のお客さんが立ち止まった。
「どうされました?お客様……」
様子に気づいた琉生が彼にたずねる。
あたしもそちらに顔を向けた。
と同時に、彼はゆっくりと戻ってきて、あたしの目の前で、サングラスを少し下げた。
「ねえ君、一ノ瀬鳴海のファン?」