……ん?
「おいくらですか?」
「………」
「あの、店員さん……?」
サングラスを掛け直して、不思議そうに見てくる長身のお客さん。
一瞬、目が合っただけだった。
それでも、わかったかもしれない。
現在トレンド1位に名前があがっている、推しかもしれないーーと。
冷静になれ、あたし。
どうして、ここにアイドル一ノ瀬鳴海がいると思う?
そっくりさん?世の中に似ている人は3人いるらしいし、本人な可能性は極めて低い。
万が一、いや億が一、なるくんだったとして……そしたらあたしは……。
「あ、あの〜……?」
「おい、翠生!お客さん待たせるなよ。すみません。こちらのお会計ですか?」
気づいたら戻ってきた琉生が謝って、あっという間に会計をしてくれていた。
その間も、あたしはお客さんから目が離せなかった。
瞳だけでも、こんなになるくんに似てるなんて……。