「悠生、琉生おかえり〜」
お察しの通り、名前の響きが似ていてわかりやすいと思うけど、帰ってきたのはあたしの弟と兄だった。
普段は裏口から家に入るけど、お店に人がいないのとあたしが店番をしていたからか表から入ってきたのかな。
弟の悠生は中学にあがったばかりの、口がますます達者になった自由奔放な末っ子。
兄の琉生は製菓専門学校の1年で、お父さんの背中を追ってパティシエを目指している。
「友だちんち行ってた!そしたらそこで琉生にーちゃんと会った」
「おー、偶然な。つーか店番代わろうか?」
「えっ、優しすぎ。いいの?」
「翠生ねーちゃん甘えすぎじゃん」
「悠生うるさいよ」
とりあえず荷物を置いてくると言って、ふたりは2階に上がっていった。
琉生が代わってくれるならお言葉に甘えるかぁ。それまではちゃんとしてよう……。



