「あ〜〜〜好き……」
同じ時代に生まれたことが奇跡。
推しが存在する時代に、あたしをこの世に産んでくれてありがとうお母さん。
なんて、壮大に感謝してしまうくらいには大好きな人がいるのだ。
正確には……。
「また推し見てるの、翠生」
「ふはは」
推してるアイドル。
控えめに言ってもあたしの生きがい。
あたしのスマホを覗き込んで、呆れた顔で笑うのは幼なじみの原田 澪だ。
澪とは生まれた時からお隣さんで、姉妹のように育ってきた。
目がクリッとしたかわいい顔立ちをしてるけど、性格はサッパリしていてお姉ちゃんみたいな存在。
あたしがアイドルを好きになった経緯もよく知っている。