「あー私ったらなんて鈍感なの」

「今に知ったことではないでしょう」

「はぁあ?余計なお世話ですぅ」

 進藤くんは眼鏡を左手の中指で押し上げてにやりと笑った。

「おい、なんで進藤までいるんだ?」

「うわぁ!」

 いつの間にかふたりは私たちのもとにやって来ていた。

「僕はたまたまここを通りかかっただけです。そこに一世一代の告白があるからと言われて隠れろと…。よかったですね、皆川くん」


「なんだ進藤にまで全部見られてたのかよ。はずっ」

「捺乃、ごめんねずっと誤解してた。なんで付き合ってるなら私に言ってくれないのかなとも思ってて。私たち友達じゃなかったのかって」

「そんなこと思わせちゃって、私もごめんね。それより私、由理が皆川のこと好きだったなんて知らなかったよ」

「あ、うん。皆川くんのことが好きなんだって気づいたの、マックでふたりを見かけたときからなんだ。たぶん、ヤキモチ妬いてた…」

「そっか。意図せずして由理の気持ちを気づかせたってことか。めでたしめでたしだね」

 ふたりは初々しげに微笑み合った。くぅ~にくいねおふたりさん!

「えっとーそれで、これからどうしよっか。勉強の続き、する?」

「勉強の続きしようよ。試験前だし、勉強をほっぽり出すわけにはいかないよ」

「え」

「由理は真面目だね。皆川と違って」

「う、うるせ。俺だって今同じこと言おうとしたんだよ」