日直当番【完結】

「皆川!今から由理を追いかけて告白しな!」

「え」

「『え』じゃない!今由理の誤解を解かなきゃいつ解くのよ!俺が好きなのはおまえなんだって言ってきなよ!」

「神崎…。わかった」

 皆川は心を決めた顔で走り出した。私もそのあとを追う。しばらく走るとトボトボと歩く由理の後ろ姿が見えた。

「私そこの電柱の陰にいるから。頑張って来なよ!」

「ああ。サンキュ」

 私は電柱の陰に小さく身を屈めて身を隠し、ふたりの様子を見守った。

「岩戸!」

 皆川が呼ぶ声にも応えず、由理は足早に歩みを進める。皆川は由理の腕をつかんで振り向かせた。由理は泣いているように見える。

「何をやっているんですか?こんなところで」

「!?」

 不意に後ろから声をかけられ心臓が跳ね上がる。なんと後ろには自転車にまたがる進藤くんがいた。白いカッターシャツに黒いベストとは、いかにも進藤くんらしい服装。しかもフェイクタイ付のシャツっておまえオシャレか。それにしても神出鬼没だなこの男は。

「ちょ、びっくりするじゃない。進藤くんも隠れて」

「?」

「今皆川の一世一代の告白なの。黙って見守ってあげて」

「仕方がないですね」

 進藤くんは自転車を下りて私の後ろに屈んだ。後ろに感じる進藤くんの気配にどきっとする。いやいやそんなことより…。