日直当番【完結】

 進藤くんは無言で私の頭のてっぺんから足の先までじろりと眺めてから前を見据えた。

「ちょっと!今『あるわけないよな』とか思ったでしょ」

「そんなこと思ってませんよ」

「目は口ほどに物を言うんだよ」

「だから思ってません。勝手な被害妄想ですよ」

 教室の目の前まで戻ってきたときに、進藤くんは荒川先生に呼び止められた。

「進藤ー!丁度いいところにいた」

「この前話してた資料のことなんだけど、今取りに来れるか?いろいろ説明しなきゃいけないし、俺このあと用事があるんだ。すぐ終わるから」

よく分からないけどそういうことらしい。

「分かりました。神崎さん、少し待っていてください。危ないのでひとりでやらないでくださいよ」

進藤くんは私に脚立を預けて先生と行ってしまった。私はひとり寂しく教室で待つことした。ものの5分でしびれを切らせてしまった。時々雷の音に怯えてひとりでわーわー叫んでいた。正直言ってこんなことしてないで早く部活に行きたかったけど、さっさと蛍光灯を取り換えることにした。

取り換える蛍光灯の電気を消し、そのまわりの机をどかして脚立を立てた。脚立が倒れないか確認し、一歩ずつ確かめながら登って行く。一段ごとにぎしぎしときしんで脚立が揺れる。脚立のてっぺんはずいぶんと眺めがいいけど落ちそうで怖い。