日直当番【完結】

「ねぇ空が真っ暗だよ。進藤くん」

「そうですね。神崎さん」

 私は場違いなほどの明るい声を出して言った。

「今日の講演会、なかなかおもしろかったね。進藤くん」

 私は進藤くんの背中に向かってにこやかに言った。

「そうですね。神崎さん」

「でもどうして私たちが教室掃除をしなきゃならないんだろうね。進藤くん」

「それは講演会の時間が押して、掃除の時間が潰れてしまったからですよ。神崎さん」

 私は持っていたほうきを床に放った。

「なんで日直がこんなことしなきゃなんないの!?あーやだやだ」

 私は近くにあった椅子にドカッと腰を下ろした。

「仕方ないですよ。僕が先生に、日直が教室掃除をやると言ってしまったので」

「は!?聞いてないんだけど!なんでよ」

「簡易清掃でもよかったんでしょうけど、明日汚い教室で授業を受けるの嫌じゃないですか」

「そう思ってるのは君くらいだよ。私そんなん気にしないし」

「いいから早く掃除の続きをしてください。終わるものも終わりません」

「はいはい分かってますよー」

 私は重い腰を上げて床に放ったほうきを拾った。

「そう言えば小田原先生、なんか若かったよね?何歳なんだろうね」

「48歳ですよ」

「えっなんで知ってんの?30代半ばくらいかと思ってたんだけど」