日直当番【完結】

「ごめん。いいよ行って。改札口出たら家まで10分くらいだから」

「その状態で10分も歩くのは辛いでしょう。それに傘も持っていないのではまた濡れてしまいます。僕が家まで送りますよ」

 進藤くんは真顔でそういうことを言う。

「なんか今日の進藤くん優しくない?」

「僕は普段から優しい人間です。立てますか?」

「うん」

 とは言いつつも、やっぱり足取りはおぼつかなくてフラフラと歩いてしまう。寒いし頭は痛いしもう何がなんだかよく分からない。

「おぶってあげましょうか」

「やめてよ子どもじゃないんだから。それに進藤くんまで濡れちゃうよ」

「僕も少し濡れてしまったのでそれは構いません。おや、また雨がひどくなったようですね」

 改札口を抜けて空を見ると、さっきよりも雨脚が速くなっていた。

「はぁ…」

 立っているのが辛くなってまたしゃがみ込んで目をつむる。

「10秒だけ、こうさせて……」



1…2…3……4……5……6…………――――――