「……ん……きさん…神崎さん…」
頭の上の方から声が聞こえた。目を開けると進藤くんの肩に寄りかかって寝ていたのに気づき、慌てて顔を上げた。
「のわっ」
進藤くんの顔があまりにも近くにあったのでびっくりしてのけぞった。
「失礼ですね。人の顔を見て驚くなんて。もうすぐ着きますよ」
少し下がった眼鏡を左手の中指で上げて、バッグの中に本を仕舞いこんだ。立ち上がる頭がぼーっとしていてなんだか足取りがおぼつかない。なんか変だ。どうしちゃったんだろう…。
「出口まで同じですか。神崎さんはどこに住んでいるんですか?」
進藤くんの質問がぼんやりと聞こえる。ひどく現実感がない。
「一ノ宮に、住んでる」
「僕は豊地です。案外近いところに住んでいるんですね」
「そうなんだ。もう5月なのに、全然、知らなかっ…た」
私は言い終わる前にその場にしゃがみ込んでしまった。
「神崎さん?」
先を歩いていた進藤くんが私の様子に気づいて戻って来た。
頭の上の方から声が聞こえた。目を開けると進藤くんの肩に寄りかかって寝ていたのに気づき、慌てて顔を上げた。
「のわっ」
進藤くんの顔があまりにも近くにあったのでびっくりしてのけぞった。
「失礼ですね。人の顔を見て驚くなんて。もうすぐ着きますよ」
少し下がった眼鏡を左手の中指で上げて、バッグの中に本を仕舞いこんだ。立ち上がる頭がぼーっとしていてなんだか足取りがおぼつかない。なんか変だ。どうしちゃったんだろう…。
「出口まで同じですか。神崎さんはどこに住んでいるんですか?」
進藤くんの質問がぼんやりと聞こえる。ひどく現実感がない。
「一ノ宮に、住んでる」
「僕は豊地です。案外近いところに住んでいるんですね」
「そうなんだ。もう5月なのに、全然、知らなかっ…た」
私は言い終わる前にその場にしゃがみ込んでしまった。
「神崎さん?」
先を歩いていた進藤くんが私の様子に気づいて戻って来た。

