日直当番【完結】

「なに…?」

 じわりじわりと進藤くんは近づいてくる。それに従い私は後ろに下がっていく。

「やられた分だけ倍にして返しますよ」

 進藤くんの冷たく張りつめた声に緊張感が走る。気づくと教室後方の隅まで追い込まれていた。窓の外には野球部たちの姿が見える。進藤くんはそれらを遮るように右手でカーテンを閉めた。


「何…する気?」


「知りたいですか?」



 進藤くんは壁に左手をつき、窓枠に右手を置いた。とうとう私は完全に行き場を失った。進藤くんは私の目を見たまま逸らさない。耐えきれなくなってきつく目をつむった。


 少しの間があって、ゆっくりと進藤くんの顔が近づいてくるのを感じた。

光はだんだんと遮られていく。

進藤くんの息遣いが間近で聞こえる。

私の鼓動はどんどん速くなる。

まだ触れてもいないのに進藤くんの体温を肌が感じた。





進藤くん、もしかして……――――――。