お祭りから帰ってきた私たちは九郎さんに予想通り、怒られちゃった。



それは仕方ないよね。
だって弁慶さん、九郎さんからきちんと許可もらってなかったんだもん。



そんなことよりも私は、気づいたことがある。



弁慶さんに好意を抱いているということ。
この好意がなんなのかがわからない。



弁慶さんを異性としてなのか、友人としてなのかが。
お祭りの日からしばらく経ったある日、私は弁慶さんと話しをしようと弁慶さんの元を訪れた。
いや、訪れようとしたけど、九郎さんや景時さんと何か話し込んでるみたいだったから、立ち去ろうとしたんだけど……。



「最近さ、明里ちゃんと仲良いよね?弁慶殿は」



うわっ
タイミング悪い時に来ちゃった。
そう思っていると何故か弁慶さんがむせていた。



「どうしたんだ、弁慶。むせて……」
「何でもありませんよ?でもどうしたんですか、急に」
「弁慶と明里ちゃんがあまりにも仲良くて……」
「仲が良いって俺と明里さんはそんな関係じゃないですよ」
「じゃあどう思っているんだい?」
「俺は彼女を――妹のように思ってますよ」
「本人の前でもそう言える……?」
「えぇ、言えますよ」




――妹のように思っていますよ――

ズキッ

あれ、何でこんなにショックなんだろう?
それより今、景時さんと目合わなかった?
気のせい……なわけないよね。
何で!?
私がいるのわかってて……
何故?


気がつけば私は何故か泣いていた。



それから私は、弁慶さんを避けるようになってしまった。



弁慶さんは気づいてないみたいだけど、あんな話しを聞いてしまったから気まずくて、弁慶さんと今まで通りに接することができない。



「明里ちゃん!」
「景時さん?どうしたんですか?」
「最近、弁慶と一緒じゃない、というより避けてるよね?何かあった?」



景時さんはそう聞いてきた。
意地悪な人だな。



「意地悪ですね!景時さんは。あの時私がいるのわかっていたじゃないですか!!」
「やっぱり気づいてた?」
「気づかない方がおかしいですって。目まであったんですから」


まるで私に聞かせるかのように話していた。