「……っ」




私はそんな弁慶さんの言葉に俯いてしまう。
泣いているのがバレないように。



「そういう時はもっと頼って下さい!俺の胸で良ければかしますから」



天后は再び猫の姿になり、どこかへ行ってしまう。



それからどれくらいたっただろうか。
私が落ち着くと、弁慶さんに抱きしめられているのに気づく。



「あっ弁慶さんごめんなさい」
「いいですよ。役得でしたし!そだ、前に約束してたお祭り明日あるんですよ」
「本当ですか!!あ、でも。九郎さんには……」
「九郎には俺から話ししときますから大丈夫ですよ!じゃあまた明日」
「えっあっ……行っちゃった」


弁慶さんは言いたいことを言うと行ってしまった。



そして翌朝。



「?怒鳴り声?誰かな?」



私が朝広間へ行くとかなり怒っている九郎さんとそれを爽やかにかわす弁慶さんがいた。



「おはようございます。どうしたんですか?」



私は広間の襖を開けて、恐る恐る声をかけた。



「あぁおまえか。いや弁慶が馬鹿なことを言ってきてたからな」
「馬鹿なことじゃないですよ。今日俺は祭りに行くって言ったんですよ、九郎」
「1人で行くのか?」
「まさか!祭りには……」




弁慶さんは私の腕を引っ張り抱き寄せる。



「明里さんと行くんですよ」



固まった九郎さんを放置して、私たちは広間をあとにした。