「明里と言ったか」
「はい……」
「そこらへんの兵よりは腕は上だ。しかし、まだまだだ。これからも、精進せよ」
「えっ?」
「つまり九郎は、キミを歓迎するということですよ」



九郎殿がそう言うと優しそうな雰囲気の僧兵のような格好をした青年がつけ加えた。



「俺ですか?俺は――…それよりも、まずは屋敷に戻りましょう」



彼がそう言うと私は九郎殿たちと屋敷に戻った。


そして。
夕餉を済ませたあと、私は九郎殿の部屋に向かう。



「やぁ、いらっしゃい」



九郎殿の部屋に行くと、九郎の他に2人の青年がいた。



「俺は武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)といいます」


さっきいた彼がそう言った。
彼は弁慶という名前らしい。



「俺は梶原景時だよ」
「私は水城明里といいます。弁慶様、景時様よろしくお願いします」
「明里さん。我々のことを様とつけてよばなくていいんですよ」
「ですが……」
「いいんだよ、明里ちゃん。そうしてもらえると嬉しいんだけどな」
「えっと、それじゃあ、弁慶さんと景時さんで」
「えぇ、それで構いません」



それから私は、彼らと親しくなっていく。




私はそれから九郎殿と剣の稽古したり、愁一郎様の計らいで安倍家の書物を読んでいた。




「明里さん……」
「へっ?あ、弁慶さん」
「そろそろ屋敷に戻りませんか?外は暗くなってきますよ」
「えっあ、そうですね!では、今日はこの位にして戻りましょう」



私は安倍家の書物を読ませてもらっていたけど、いつも暗くなるまで帰ってこないから心配する弁慶さんがいつも迎えにきてくれる。



「ただいま戻りました」
「お帰り」



私たちを出迎えたのは、景時さんだった。
そして景時さんは笑いながら言う。



「相変わらず、集中すると、時間を忘れるんだね」
「す、すいませんっ」
「いいじゃないですか」


私をからかう景時さんに対して、弁慶さんはそう言ってくれる。