「やれやれ、物騒なことしちゃダメだよ?龍ちゃん」
そう、晴明様ではなくて……。
「いや、龍ちゃんじゃないよね?」
「――。何言ってるんだよ!愁一郎さんは」
愁一郎様だった。
「……。へぇー怒らないんだね?いつも龍ちゃんて呼ぶと怒るのにさ」
「……」
愁一郎様がそう言うと龍輝殿の顔つきが変わる。
「もはや、隠しても無意味」
「やっと正体現したな」
そう言いながらも愁一郎様は構えた。
彼女が呪文を唱えると、それに合わせて、私は金縛りをかける。
「禁!」
「うっ!」
「お主ら、妾を騙したんじゃな!?」
「騙すなんて人聞きの悪い」
「私たちは龍ちゃんを助けたいんだよ。この子からのお願いだからね。私としては、助けたくなかったんだけどねー」
「愁一郎様!?」
「本当のことだし。陰陽師として、取り憑かれるのは、どうかと思うんだよ」
確かに陰陽師としては失格。
でも……。
「愁一郎……さん。俺ごと、封じ込めろ」
「いいのかい?」
龍輝殿はそう言われ頷く。
「ダメです!私なら、龍輝殿を助けれます。ですから!」
「本当にできるの?」
「はい!」
「龍輝殿、今、助けますから!少し我慢して下さいね!」
愁一郎様の言葉に私は頷き、呪文を唱えた。
「くっ!」
「どうやらあの女はいなくなったみたいだね」
「愁一郎さん。すまない」
「陰陽師してればこういうことありますよ」
「明里は取り憑かれた経験は?」
「んー陰陽師なりたての時はあったけど……」
「今はない?」
そう言えばアレ以来ないよね。
「こつは、精神的に強くなる。誰がこんな奴にと思うこと!」
「それだけ?」
「はい!」
「それはさ、ね、龍ちゃん?」
「あぁ」
2人は声を揃えて言う。
「明里殿にしかできないよ」って。
失礼だな。
「龍輝殿、帰りましょう?あなたは早く帰って休まれた方がいいです」
そして私たちは水城家の屋敷に戻っていく。


