「愁一郎様?どうされたのですか?」



道場に向かっていると、愁一郎様が呼び止める。



「龍ちゃんのことだけどさ、気をつけて。もし、何か変化あれば――…」
「大丈夫!私がついてるわよ!愁一郎」



天后がいきなり愁一郎様がいるのに現れてしまう。




「天后がいるなら大丈夫だね」


天后と愁一郎様は知り合いらしい。
詳しくは天后も教えてくれないから。



「心配症ですね!愁一郎様は」


そして道場へ向かう。



「龍輝殿!お待たせしました!」
「じゃあ、早速始めようか」



軽く打ち合いから始める。


「やぁっ!」
「なかなかいい。力任せにしないでっ」



私はそれから毎日龍輝殿に剣術のを来る日も来る日も教わった。



私がこちらに来て1ヶ月程した頃、龍輝殿に憑いている霊が活動を始めた。



龍輝殿は、夜出かけた記憶がないって。
夜動きまわってるのに。



そんなある日。
私は龍輝殿のあとをつけた。
嵐山の奥に向かう龍輝殿。
龍輝殿はまるで何者かに呼ばれているかのように進んで行く。


――よう来たの。龍輝よ――



多分、龍輝殿を乗っ取った女。



悪意は感じなかったけど、龍輝殿を操っていたのは間違いない。
そして彼女は言うのだ。



――龍輝よ。妾の願いを聞いてはくれぬか?――



「願い?何だ?」



―安倍晴明の命じゃ。あやつをころしておくれっ!――



「――あぁ、いいよ」
「!!」



私はその場から去り屋敷に戻った。