初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜




「あ、なんだ今日ここで飲んでたの?」
「え! せ、先輩っ……」
「もし良ければ同席してもいい? ほら、人数多い方が楽しいから」
「も、勿論ですっ!」
「えっ」



 勝手に進んでいく話に、私が思わず声を上げ友人を見ると、友人はアルコールだけが原因とは言えないほど頬を染めていた。
 あ、この人が友人の片思いの先輩なんだ。そして先輩の頬もうっすら染まっている。これは……。
 私は口を結び、どうぞと笑顔を作る。


 ソファー席の友人の横に先輩が。そして私の隣には、先輩の後に続いてきた背の高い男が腰を下ろした。



「隣、いい?」
「はい。もちろん」


 男物の香水が香り、声のした方に視線を移す。
 隣に座ったのは、ふわりとした柔らかそうな髪をブラウンに染めた、恐ろしいほど顔の整った美丈夫だった。