初恋酩酊〜恋を知らない彼に溺れる〜





「なんでこの前の埋め合わせが飲み会になるんだよ。おかしいだろ無理」
「私だって今回は断れませんよ。この前ドタキャンしたんだし」
「だってそれ男いるじゃん」
「はい。友達ですけど」
「無理だわ無理。全俺が無理っつってる」



 新田さんが私の肩に両手を置き、嫌々と首を振るっている。
 眉間に皺を寄せ口をへの字に曲げ、顔全体で不快感を表しているけど、今日ばかりはその願いを聞き入れられない。


 廊下の端っこで行われるこの攻防に、通る学生皆がチラリと目を向け去っていく。
 友人から聞いたが、私と新田さんが付き合っているという噂が立っているらしい。これだけ一緒に居たら無理もない。
 ここ最近特に女子達のチクチクした視線を感じるから考えものだ。


 それにしても、そろそろやめてほしい十分は経ってるし、どんだけ粘るんだ。