「……あ?」
窓の外を、見た目好青年の男が一人、女と並んで楽し気に歩いていく。
あれがあの子の彼氏。そして隣が浮気相手か。
顔から表情が抜けていく。
作った笑みが抜け落ち、俺は真顔でその様子を見つめた。
「飲み会で、香苗ちゃん? と別れるといざという時住む場所がなくなるからとりあえず別れずキープしてるみたいですよ。けど浮気相手ももうすぐ一人暮らし始めるみたいで、そうなったら別れて浮気相手と住むって」
「その話、どこで聞いた?」
「私、彼氏の方とサークル同じなんですよね。飲み会で酔っ払って話してましたよ」
「……そうか」
「あんな好青年みたいな面して最悪ですよね」
それ以降、情報源の女との会話を覚えていない。
何故か怒り脳を支配していたから。



