────隣に座った時、何処にでも居そうな平凡な女だな。と思った。
遊んでなさそうな、一見大人しそうな小柄な子。
視線を向けられることには慣れていたが、わざと視線を合わせて逆に逸されることは初めてだった。普段は数秒それが絡むのに。
だから、少し揶揄ってやろうと思った。
わざとあの電話に出なかった。反応が見たかったから。
きっと困って顔を赤くするだろう、そう思っていたのに。
「あの子は、なんか特別なんだよ」
「……特別?」
「まぁいいわ。他に聞くから」
友人の困惑した表情を無視し、食器を下げて学食を出る。
あの子の周りから情報を集めればいい。
好きな物でも聞き出して、あの日のお詫びとして持っていけば問題ないだろう。
その時はそう思っていた。
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