そうこうしているうちに、先輩と隣に座った美丈夫が注文をして改めて四人での飲み会が始まった。
友人といい感じの先輩が美丈夫のことを新田深冬(にったみふゆ)と紹介してくれた。学年は一つ上らしい。
先輩はコミュニケーション能力が高く、いろんな話題を嫌味なくこちらに振ってくれた。
一方新田さんは自発的に会話を切り出すことはしないが、話に耳を傾けそれとなく相槌を打ち、時折大きな口を開いて笑う。
一見もっと愛想のない人だと思ったから、子供のような笑い方にそれだけで印象が変わった。
「この前あの店行ったけど、良かったよ。今度二人も行ってみたら?」
「言うほどだったか? 俺は駅前店のが好きだった」
「えー、じゃあ今度両方行ってみよう。ね、香苗」
「うん。行こう」
「あ、そういえばこの前サークルでさ……」
「はい!」
先輩が友人にしか分からない話題を振ったタイミングで、座っているソファーから振動を感じた。
自分のスマホを確認しても通知も何もない。
視線を横に向けると、ソファーに置かれた新田さんのスマホが震えていた。



