かつて、僕は暗い子供だった。

多忙な両親は、いつも遅くまで留守で、僕はきっと両親に愛されていないと思っていたから。

その思い込みが間違いだと気付かせてくれたのが、小学生時代の愛子だ。

小学生の頃、賑やかな愛子の家と自分の両親を比較して

「愛ちゃんはいいよな」

そんな愚痴っぽいことを言ったことがある。

「賑やかな家庭で、みんなから愛されて育ったのがよくわかる」

「ゆうちゃんのパパとママも、ゆうちゃんのことが何より大事だよ?」

「まさか。いつも帰りは遅いし、俺のことなんてどうでもいいんだろ」