きみの笑顔は、季節外れの太陽のようで

「ネックレスだ……! 可愛い……!」

思わず笑顔がこぼれる。

「昨日の部活終わり、姉ちゃんに急に買い物に呼び出されて付き合ってる時にたまたま見つけてん。ほら、誕生日やって知ってて、プレゼント渡さへんのも、なんかなあ、と思って。それに、ネックレスならならいくつ持ってても良いって、姉ちゃんも言うてたし」

こんなに気を遣ってくれなくて、良いのに。

部活で相当忙しいだろうに。私のために、労力なんて使ってくれなくて良いのに。

わざわざお姉ちゃんにも聞いてくれたのかな。

女慣れしてそうなのに。意外とそうでもないのかな。

「嬉しい。私、男の子にアクセサリーもらったの、初めてなんだ。ずっと大切にするね」

「……それぐらいなら、学校にもつけていけるやろ。まあ、無理に使わんでもいいけど」

「ううん、大切にする」

一瞬だけ持って、と彼にアクセサリーケースを渡す。

私は今付けているネックレスを取ると、彼の手からアクセサリーケースを取り戻し、ネックレスを手に取って、首に付けた。

「どう? 似合う?」

「……馬子にも衣装やな」

「……」

「うそ、似合ってる」

「よかった」

二人で笑い合う。

「本当は、誕生日前に失恋するなんてツイてないなって思っていたの。けど、宮本くんが一緒にいてくれて本当によかった。宮本くんが隣の席で良かった。隣の席の恩恵、いっぱい受けちゃった」

「そうやな。感謝して」

「うん、感謝してる」

本当に。言葉では言い表すことが出来ない程に。

「ねえ、お願いがあるんだけど」

つけたばかりのネックレスを、スマートフォンのカメラで映す。

周囲のハートがシルバーだからか、ルビーの赤色がとても綺麗に映える。それに、身体を動かすたびに、ルビーが控えめに揺れて、とてもかわいい。

「嫌なら断ってくれていいんだけど、一枚だけ、一緒に写真撮らない?」

せっかく高校生になって初めての誕生日。

楽しかった思い出を、形として残しておきたい。

きっと断られるだろうな。

そう思って尋ねたのに、彼はすんなりと「いいよ」と答えた。