「え、なに? 私?」
「うん。さっきから話しかけてるんやけど」
「あ、ごめん。聞いていなかった」
「なに?」と聞き返すと、彼は一瞬だけ私から視線を外した後、私を見つめる。
その眼差しはあまりにも真剣で、いつも明るく、男友達とじゃれあっている彼からは想像できないものだった。
「そんなにも好きなん? 宇山のこと」
「……どうしてそんなこと聞くの?」
「なんでも」
宮本くんは短く答えた後、「教えて。そんなにも宇山のこと好きなん?」と、もう一度尋ねた。
どうして宮本くんに教えないといけないんだろう。
そう思いつつも、彼の真っ直ぐな視線は私の目を捉えて離さなくて、逃げることが出来なかった。
「うん、好きだよ」
私が素直に答えると思っていなかったのか、宮本くんは私の答えに、少しだけ驚きの表情を浮かべた。
少しの沈黙が2人の間に流れる。
「なんで? なんでそんなにも好きなん?」
宮本くんは小さく低い声で問いかけた後、「確かに顔はかっこいいけど」と付け加えた。
「……そっか、うん、顔もかっこいいかも」
そういえば、中学校の時、サッカー部の後輩の女子マネージャーが「イケメンだ」と騒いでいたことを思い出す。
彼女はきっと悠斗のことが好きだったんだろう。
悠斗は部の主将や副主将を務めていたわけではなかったのに、ことあるごとに教室まで来ては、悠斗に話しかけていた。
悠斗と話す時の後輩の眼はとても輝いていて、きっと鈍い悠斗は気づいていなかったけれど、傍から見ると悠斗に対して好意を持っていることは丸わかりだった。
それに、彼女以外にも、別のクラスの女子たちが悠斗を見て「かっこいい」とはしゃいでいたりしたこともあったな。
悠斗は今も私の知らないところで、「かっこいい」と騒がれていたりするのかな。
例えば、今目の前にいる、この男子生徒のように。
もしそうなら。
考えただけで、胸がざわつく。
悠斗は私のものでもないし、私の彼氏でもない。
でも、彼が誰かから好意を持たれたり、「かっこいい」と思われることは、悠斗を好いている私からすると、共感できるような、でも不安にもなるような、複雑な気持ちだった。
「うん。さっきから話しかけてるんやけど」
「あ、ごめん。聞いていなかった」
「なに?」と聞き返すと、彼は一瞬だけ私から視線を外した後、私を見つめる。
その眼差しはあまりにも真剣で、いつも明るく、男友達とじゃれあっている彼からは想像できないものだった。
「そんなにも好きなん? 宇山のこと」
「……どうしてそんなこと聞くの?」
「なんでも」
宮本くんは短く答えた後、「教えて。そんなにも宇山のこと好きなん?」と、もう一度尋ねた。
どうして宮本くんに教えないといけないんだろう。
そう思いつつも、彼の真っ直ぐな視線は私の目を捉えて離さなくて、逃げることが出来なかった。
「うん、好きだよ」
私が素直に答えると思っていなかったのか、宮本くんは私の答えに、少しだけ驚きの表情を浮かべた。
少しの沈黙が2人の間に流れる。
「なんで? なんでそんなにも好きなん?」
宮本くんは小さく低い声で問いかけた後、「確かに顔はかっこいいけど」と付け加えた。
「……そっか、うん、顔もかっこいいかも」
そういえば、中学校の時、サッカー部の後輩の女子マネージャーが「イケメンだ」と騒いでいたことを思い出す。
彼女はきっと悠斗のことが好きだったんだろう。
悠斗は部の主将や副主将を務めていたわけではなかったのに、ことあるごとに教室まで来ては、悠斗に話しかけていた。
悠斗と話す時の後輩の眼はとても輝いていて、きっと鈍い悠斗は気づいていなかったけれど、傍から見ると悠斗に対して好意を持っていることは丸わかりだった。
それに、彼女以外にも、別のクラスの女子たちが悠斗を見て「かっこいい」とはしゃいでいたりしたこともあったな。
悠斗は今も私の知らないところで、「かっこいい」と騒がれていたりするのかな。
例えば、今目の前にいる、この男子生徒のように。
もしそうなら。
考えただけで、胸がざわつく。
悠斗は私のものでもないし、私の彼氏でもない。
でも、彼が誰かから好意を持たれたり、「かっこいい」と思われることは、悠斗を好いている私からすると、共感できるような、でも不安にもなるような、複雑な気持ちだった。