「佐々木くんと坂本くんは、本当にヒーローだったよ」

「確か暫く、坂本と一緒に歩いていると『ヒーロー一号と二号だ』とか言われたな」

「あったねー! 懐かしい!!」

「佐々木、よくこんなやつと仲良くできるな」

盛り上がる私たちとは反対に、低く冷たい声で宮本くんは佐々木くんと私の会話に割り込むと、もう一度冷ややかに私を見下ろす。

「どうして? 高橋、良い奴だよ?」

面白いしさ、と佐々木くんが付け加える。

ああ、ありがとう、佐々木くん。

中学時代と変わらない優しさを持つ佐々木くんに、私は心の中で感謝の言葉を伝える。

「良い奴……?」

宮本くんは鼻で笑うと、佐々木くんに言いつけた。

「こいつ、俺のファンなんか知らんけど、昼休みはわざとぶつかってくるし、今は帰るところを待ち伏せしてるし、迷惑してるんやけど」

「だから! わざとぶつかったんじゃないってば! それに今だって別にあなたのことを待っているわけじゃないんですけど」

「はあ? いちいち言い訳すんなよ」

「あのねえ、この際だからはっきり言うけど」

私はキッと睨みつけた。

「世の中、私みたいにあなたのことが好きじゃない女の子だっているんだよ? 全員が全員、自分のことを好きだと思うのは自惚れすぎでしょ」

私の言葉に、宮本くんはカッと目を見開いた。

「お前」
「真凛」

宮本くんが何か言いかけた時、聞き慣れた愛しい声が私を呼ぶ。