「佐々木くん、本当に久しぶり。会うのは入学式以来かな?」

「そうだなあ、クラス離れているとなかなか会わないよ」

「なに、佐々木、こいつのこと知ってんの?」

宮本くんは険しい表情で、佐々木くんに尋ねた。

明らかに私の存在を良く思っていないことを示す態度に、苛立ちが募る。

「うん、そうだよ。同じ中学出身だから」

「なっ?」と同意を求められ、私は慌てて笑顔を作り、うなずく。

あれ、けど、どうして宮本くんと佐々木くんは知り合いなんだろう?

「二人はどういう……?」

「ああ、同じ部活」

佐々木くんは「俺も宮本も、バスケ部なんだよ」と補足した。

「ああ、そっか。佐々木くんは中学の時もバスケ部だったもんね」

「そうそう、よく覚えているね」

「三年生の時の球技大会で、佐々木くんと坂本くんがバスケの試合で大活躍してくれたおかげで、総合優勝できたから。二人がバスケ部だっていうことは良く覚えているよ」

「懐かしいなー! そんなこともあったなー!」

中学最後の球技大会は、隣のクラスと最後の最後まで総合優勝を争った。
女子はどの競技でもあっさり負けてしまったのだけれど、対照的に、運動部に所属している生徒たちが多かったおかげもあって、男子は全ての競技で良い成績をおさめていた。

そして最後は、男子バスケの試合で、隣のクラスとの戦いだった。隣のクラスは男子も女子もほとんどの競技で良い結果を残していて、総合優勝の最有力候補だった。

この試合に勝てば総合優勝、負ければ準優勝、という試合で、私たちのクラスはバスケ部に所属していた佐々木くんと、佐々木くんと同じバスケ部の坂本くんという男子生徒が奮闘してくれ、見事優勝したのだった。

隣のクラスにもバスケが上手な人がいたから、最後の最後まで接戦だったけれど、だからこそ勝利が決まった瞬間は大盛り上がりだった。