「早く片付けないと置いていくよ?」という彼女の脅しに「待って!」と答えながらテキパキと荷物をカバンに入れて、彼女の元へ行く。
「それよりさー、真凛」
教室を出て、二人で昇降口を目指す。
授業が終わってからだいぶ経ったからか廊下はひっそりと静まりかえっていて、鈴ちゃんの声がやけに大きく聞こえた。
「宇山くんには告白しないの?」
「!?」
突然の質問に、勢いよく彼女を見つめる。
「何、急に! どうして!?」
「えー、だって、さすがにゴールデンウィーク中にくっつくかな? と思っていたのに、まだ付き合ってないんだもん。どうみたって二人、良い感じなのに。私からすると、『どうして付き合わないの?』って感じだよ」
“良い感じ”
鈴ちゃんから発された言葉が脳内に響く。
嬉しい。嬉しいけれど。
「それは、私たち、幼馴染だからだよ……」
自分で言っておきながら、少しだけ虚しくなる。
「けど、幼馴染でも仲良くないことだってあるじゃん?」
「うーん、まあ、そうだけど」
そうだけど、だからといって、悠斗が私を幼馴染以上の存在で見ている?
きっと、あり得ないだろう。
心の中で盛大にため息をつく。
「確かに私は悠斗のことが好きだよ。だけど、私だって中学三年の冬まで、悠斗のことを“幼馴染”以外の存在で見たことは一度もなかったし……」
そもそも悠斗が、恋愛的な意味で誰かを好きになることはあるのかな。
小学一年生の時にサッカーを始めてからずっとサッカーだけに夢中で、きっとそれは今もこれからも変わらない。
悠斗がサッカー以外のことに興味を持つというのは……あり得るのだろうか。
「けど宇山くん、真凛以外の女の子とほとんど話さないじゃん。それに、“ただの幼馴染”っていうだけで、毎日一緒に帰ったりするかなあ?」
「それは……」
きっと、するだろう。
幼稚園には毎日一緒にバスに乗って通ったし、小学校の時も毎日一緒に登下校をした。
中学校の時は、部活があったから登校こそ別だったけれど、毎日一緒に下校した。
今は彼に好意を持っているから強く「一緒に帰りたい」と思うけれど、恋愛的な意味で”好き”になる前だって、一緒に帰ることは私たちにとって“当たり前のこと”だった。
「幼馴染って、きっとそういうもんなんだよ……」
消えそうな声で伝えた私に、鈴ちゃんは納得のいかない表情を浮かべた。
「それよりさー、真凛」
教室を出て、二人で昇降口を目指す。
授業が終わってからだいぶ経ったからか廊下はひっそりと静まりかえっていて、鈴ちゃんの声がやけに大きく聞こえた。
「宇山くんには告白しないの?」
「!?」
突然の質問に、勢いよく彼女を見つめる。
「何、急に! どうして!?」
「えー、だって、さすがにゴールデンウィーク中にくっつくかな? と思っていたのに、まだ付き合ってないんだもん。どうみたって二人、良い感じなのに。私からすると、『どうして付き合わないの?』って感じだよ」
“良い感じ”
鈴ちゃんから発された言葉が脳内に響く。
嬉しい。嬉しいけれど。
「それは、私たち、幼馴染だからだよ……」
自分で言っておきながら、少しだけ虚しくなる。
「けど、幼馴染でも仲良くないことだってあるじゃん?」
「うーん、まあ、そうだけど」
そうだけど、だからといって、悠斗が私を幼馴染以上の存在で見ている?
きっと、あり得ないだろう。
心の中で盛大にため息をつく。
「確かに私は悠斗のことが好きだよ。だけど、私だって中学三年の冬まで、悠斗のことを“幼馴染”以外の存在で見たことは一度もなかったし……」
そもそも悠斗が、恋愛的な意味で誰かを好きになることはあるのかな。
小学一年生の時にサッカーを始めてからずっとサッカーだけに夢中で、きっとそれは今もこれからも変わらない。
悠斗がサッカー以外のことに興味を持つというのは……あり得るのだろうか。
「けど宇山くん、真凛以外の女の子とほとんど話さないじゃん。それに、“ただの幼馴染”っていうだけで、毎日一緒に帰ったりするかなあ?」
「それは……」
きっと、するだろう。
幼稚園には毎日一緒にバスに乗って通ったし、小学校の時も毎日一緒に登下校をした。
中学校の時は、部活があったから登校こそ別だったけれど、毎日一緒に下校した。
今は彼に好意を持っているから強く「一緒に帰りたい」と思うけれど、恋愛的な意味で”好き”になる前だって、一緒に帰ることは私たちにとって“当たり前のこと”だった。
「幼馴染って、きっとそういうもんなんだよ……」
消えそうな声で伝えた私に、鈴ちゃんは納得のいかない表情を浮かべた。



