嘘と、恋。

「あの夜、そうやって家出して、最後に好きに過ごしたら何処かで自殺するつもりだったんです。
さっき、康生さんが言っていた学生証。
ほら?遺体が身元不明だと、色々警察の人に面倒かけると思って。
だから、持っていたんです」


「まりあちゃん、いい子だね。
もう死ぬ気なら、自分の事だけ考えてりゃあいいのに」


そう言って笑う康生さんに、私も笑い返すけど。


本当は、私が死んだ事を悲しんで欲しくて。


それは、母親に。


だから、そうやって私だと分かるように。


なのに。



「あの夜、さあ、時間だから家を出ようって、足音を消して廊下を歩いてる時。

母親が彼氏と話しているのが、
母親の寝室から聞こえて来たんです」