嘘と、恋。


「でも、それでも段々と現実の自分が辛くて耐えきれなくなって来て。
もう、死んでしまおうって思って。
けど、その前に、一度だけ自由気ままに過ごしてみたいな、って。
何処か遠い所に、行ってみたいって。
それで、最後にまりあのブログに書いてみたんです。
誰も見てないだろう、と思いながらも、少し期待して。
"今夜の2時に、誰か私を迎えに来て"って。
内容は、ただ、まりあは春休みで退屈しているから。
何処か、遠くに行ってみたいな、って。
私が住んでいたアパートの前に、小さな公園があるんですけど。
その場所に迎えに来て、って。
その公園と私の住むアパートを見下ろすように、大きなタワーマンションが建っているんですけど…。
セイ君は初め、私がそのタワーマンションに住んでると思っていたみたい」


「セイ君って、俺がまりあちゃんの彼氏だと思っていた、彼ね」


「そうです。
私なんかのあんな嘘のブログ、誰も見てないって思ってたけど。
世の中には、それを見て、その嘘を信じる人が居るんですね。
セイ君、そのまりあのブログを少し前に、たまたま何かと検索した時に見付けたみたいなんですけど。
まりあがお金持ちの家の子だから、仲良くなりたいって思っていたみたいで。
ほら?セイ君、ヤクザに借金あって、切羽詰まってて。
まりあに貢がせる気だったのかな?
それで、あの夜、セイ君、あの公園に来ていて…」



"まりあちゃん?"


公園の近くで立ちすくむ私に、
乗って来ていた車から降りて来たセイ君は、そう話し掛けて来た。



「そっか。
現場近くで目撃されている不審な白い車って、
セイ君の車だったのかな?」


セイ君の車も、白かったはず。