「それで、まりあちゃんはそれが嫌になって、家出したの?」
「…はい」
母親と、母親の付き合っていた男を殺して、私はすぐに家を出た。
「その家出の計画は前から立ててました」
母親とその男を殺したのは、予定外だったけど。
「私、ブログ書いてるんです。
半年くらい前からかな?
そのハンドルネームが、まりあなんです。
そのブログでの私…まりあは、タワーマンションの最上階に住んでいて。
お父さんが大きな会社の社長で、料理上手の優しいお母さんが居て。
都内のお金持ちが通う私立の女子校に通う、17歳、高校二年の女の子で」
「え?それって」
「はい。全部嘘です」
私の書いていたブログは、全部嘘。
「私はスマホとか持たせて貰ってないんですけど。
母親は持っていて。
よく、部屋のそこら辺に置きっぱなしにしたりしていたから。
ロックも簡単な数字で。
母親の目を盗んで、よくそのスマホを触ってたんです。
そんな時、そうやって芸能人とかじゃなくても、簡単に日記のようなものを書いて公開出来るって知って。
本当に、嘘ばかり書いてました。
そのブログでまりあの時の私は、本当に幸せで」
「そっか。
そのブログがまりあちゃんにとって、現実逃避だったんだ?」
「そうです。
でも、本当に嘘ばかりだから。
誰かに嘘だと言われて、その世界を壊されるのが怖くて、コメント欄とかも公開していなくて。
だから、そんなブログ、誰も見てないだろうなーって。
食べた事ない、タピオカやパンケーキの感想。
医大生達と合コンしたとか…。
名前しか知らないようなブランドものの財布を、誕生日に両親にプレゼントされたとか。
後、何書いただろう?
まりあの私は最近人気のアイドルのあの子に似ていて。
そうそう。ブログでは、ディズニーも何回も行ってて、年間パスとか持ってて」
「あー、やっぱり、今日ディズニーの方が良かった?」
「いえ、そんな事ないです」
なんだかおかしくて、私も康生さんもクスクスと笑った。



