私は簡単に、ナガクラさんの所に行った経緯を、康生さんに話した。
セイ君は借金をチャラにする代わりに、
ナガクラさんに私を売ったのだと。
「高崎、何しに来た?」
先程、セイ君と来たように、康生さんとその事務所のような場所へと行くと。
康生さんを見て、その事務所に居た男の人達は、殺気立っていて。
みんな、康生さんを睨み付けている。
「永倉は何処だ?」
そう言う康生さんに、あ?、と、そう誰かが凄んでいて。
そんな時、奥の部屋の扉から、エイジって人が現れた。
「二葉さんが、通せって。
高崎さん、こっちの部屋です」
エイジに促され、康生さんはその部屋へと行く。
私も康生さんの後を付いて行くように、
先程来たばかりのその部屋へと。
「あれだな。
お前から来てくれると、こっちから出向く手間が省けて、助かる」
ナガクラさんは、先程みたいにまたソファーに座っていて。
さっきとちょっと違うのは、ちょうど食事中なのか、
紙の箱に入ったお弁当を食べていた。
ふと、その姿に釘付けになったのは、
この人の箸の持ち方がとても美しいから。
いや、箸を持つその手が、本当に綺麗。
作り物のように、長い指。
「なに?一体何の用でお前俺の所に来る気だったわけ?
俺が此処に来たのは、まりあちゃんの忘れものを取りに来ただけ」
その言葉で思い出したように、
ボストンバッグを探す。
それは、部屋のすみに置かれていた。
「は?
その女から聞いてないか?
こいつは男から、借金の代わりに俺にその身柄を売られたんだ。
だから、この女の所有者は、現在俺だ」
現在、私はこのナガクラさんのものって事なの?



