「お前、昼迄に女連れて来るって、言ってなかったか?
もう夕方近いけど」
部屋に入ると、部屋の奥にあるソファーに座っている男性が、セイ君に向かってそう言っている。
その人は、座っていても背が高いのが分かったけど、ソファーから立ち上がると、
その背の高さに、うわぁ、と少し声が漏れた。
顔もスッゴクカッコ良くて。
でも、そんなのどうでもよく思うくらいに、この人を纏っている空気が怖い。
「永倉さん、すみません!!」
そう必死で謝る、セイ君。
この人が、ナガクラさんなのか。
「まあ、二葉さん。
とりあえず、約束通り女連れて来たし、いいじゃないですか?
この女なら、けっこう高く売れんじゃないですか?」
この部屋には、そのナガクラさんだけじゃなくて。
もう一人、若い男性が居て。
それにしても、フタバってナガクラさんの名前なのだろうか?
可愛い名前。
「女、マスク外せ」
ナガクラさんにそう言われ、怖くてそれに逆らわずにマスクを外した。
昨日よりも、痣は薄くなっている。
ナガクラさんは、目踏みするように私を見ると、セイ君に視線を向けた。
「まあ、この女こっちに引き渡すのを条件に。
遠藤、お前の借金はチャラにしてやる。
英二、こいつの借用書、渡してやれ」
そのもう一人の若い男性は、エイジと呼ばれていて。
セイ君の借金は、これでナシになるみたい。
道中のバスの中でセイ君から話を少しされたけど。
昨日、私が居ない間に、セイ君はナガクラさんと話し、私を差し出せば、
セイ君の借金を全額チャラにしてくれるとナガクラさんが約束してくれた、と。
「私は、それでどうなるの?
そのナガクラさんに差し出されて?」
「大丈夫。
まりあにとっても、悪い話じゃないから」
そう言って、セイ君は色々と説明してくれた。
そのセイ君の話は、私にとって悪い話ではなかったのだけど。
本当、だろうか?



