マリアの心臓




そのまま成り行きで、ウノくんと下駄箱のところまで行くと。

校門のほうがなんだか騒がしい。




「何かあったのかな?」

「たいていは“悪女ちゃん”関係なんだけど、ここにいるしな……」

「ん?」

「いや、こっちの話」




はて? こっちって、どっち?




「あと考えられるのは……おれら神亀絡みか」

「神亀! アタシ知ってるよ! 暴走族なんでしょ!」

「お、おう……そう、だけど……。んな自慢げに言うことじゃねえぞ?」




覚えたての知識をやたらと披露したがる幼稚園児みたいだと、からかわれてしまった。

あう。自分で納得しちゃった。恥ずかしい……。




「優木ってそんなキャラだったっけ?」

「ちがう……と思う……」

「なんで自分のことなのに自信なさげなんだよ」




アタシが彼女じゃないから、だよ。


アタシと彼女は、今は同じ人間なのに、こんなにもちがう。

似ても似つかない。




「でも……あの騒ぎよう、100パー神亀絡みじゃねえな」

「そうなの?」

「おれらに用なら、もっと殺気立ってる」




言われてみれば。

校門付近の人だかりは、ちょっと柄が悪そうだけど、殺気は感じない。

どちらかといえば、興奮のほうが合っている。




「もしかして……いや、あり得るな……」

「何かわかったの?」

「……とりあえず行ってみようぜ」

「うん!」