マリアの心臓




標的一人なら、もう一発二発で片が付くのに。
加勢のうえに武器までご丁寧に持ち寄られるとは。


運が悪い。

今日は残業になりそうだ。




「早急に叩きのめすぞ」

「店とか一般客にバレないように? この人数を? 無理じゃね?」

「テキトーに、ジョーヒンに、いこーぜ」

「うん無理だな!」

「バレる前に終わらせりゃいい。できるだろ、羽乃」

「え、できないの?」

「~っはいはい、わかりましたよ! やりゃあいいんでしょやりゃあ!」




焚き付けられた羽乃が、先陣切って走り出す。
SPの群れに強行突破し、軽い挨拶をお見舞いしてやった。




「おー! 敵さん何人か、骨イったんじゃね?」

「指、曲がったな」

「あー、指かあ、惜しい」

「オレらも見てねえで殺んぞ」

「もち」




鈴夏が気分のままに、そろり、距離を詰め、ゆらり、身をしならせ。

あっという間に、武器を半分、窃盗に成功。


ふところは、がら空き。
意識は、派手に活躍する羽乃のほう。


絶好の好機をすかさず、オレが仕留めにかかる。


ナイス連携プレー。
これが神亀の成せる業だ。



それに、今日は3人とも調子がいい。

特に羽乃は、どこかすっきりとしている。


その理由を知っているのか、鈴夏が妙にニヨニヨしてやがる。気味がわりぃ。




「そういや、おめでとー」

「は? 何が」

「カノジョ、新しくできたんでしょ?」

「できてねえよ」

「えっ? でも呼び出してたじゃん」

「呼び出して、フッたんだよ」

「えー!? あの羽乃が!? どうしたの!? 毒キノコでも食った!?」

「バカにしてんのか」




あいつら……調子がいいからって、戦闘中だってこと忘れてんじゃねえだろうな?