「っうぅぅ〜…紬ぃ〜!!」





なぜだか、あいつの声だけがいつも俺の耳には届く。



ま、今日は声と言うよりも、泣き声だけど。






「はいはい。もう泣かない」




と子供をあやすかのような声質であいつの頭を撫でる武藤。





…気づけばいつもそうだった。




嫌でもあいつの声だけは俺の耳に届いていたから不思議だ。






野々宮莉子……




莉子はちょっと…いや、だいぶ変わった女だった。