「このまま聖さんに甘えて依存してたら、彼を困らせるだけのような気がする。ほかの人に目を向けたほうがいいのかもしれない」
だって、彼は結婚するかもしれないのだから。このまま片想いを続けていても不毛なのはわかりきっているし、私が恋心を抱いていたら聖さんにも彼の結婚相手にも迷惑になってしまう。
きっと、彼からも卒業するいいタイミングなのだ。私を好きだと言ってくれるかけがえのない人を大切にしたほうが、きっと皆幸せになれるよね。
考えを変えるきっかけをくれた目の前の親友を見つめ、ふわりと微笑む。
「アキちゃん、告白してくれてありがとう。自分のこと好きって言われるのって、すごく嬉しいね」
私がそんな反応をするのは意外だったのか、アキちゃんは〝信じられない〟というように目をしばたたかせる。
「……引かないの? 急に男になって告白するとか、やばいでしょ」
「全然」
へへっと笑って首を横に振ると、彼は突然すっくと立ち上がった。私が呆気に取られているうちに小夏がいた席にやってきて、さらに近くでずいっと顔を覗き込まれる。
「本当に、気持ち悪くない? 女友達に欲情されてるんだよ?」
「その言い方をされると複雑だけど」
あけっぴろげに確認してくるので、私は顔が熱くなるのを感じつつ苦笑いした。



