呆然としていた小夏も、「そういうことだったんだ……」と呟いた。そして、アキちゃんに向かって優しく微笑みかける。
「言いづらかっただろうに、私にまで打ち明けてくれてありがと。よかったじゃん、恋愛ができたのも、自分のことがまたひとつわかったのも」
「……そうだね。ありがとう」
アキちゃんは小夏の言葉を噛みしめるようにゆっくり頷き、綺麗な笑みを返した。
私も口を開こうとしたものの、小夏がおもむろに腰を上げる。
「でも絶対私お邪魔だから、ちょっと店手伝ってくるわ。ふたりだけで話したほうがいいでしょ」
気を遣ってくれる彼女を見上げ、私が「ごめん」と反射的に謝ると、アキちゃんも申し訳なさそうに両手を合わせる。
「ごめんね、こなっちゃんには反応しなくて」
「謝られるとなんか虚しくなるからやめなさい」
小夏はちょっぴり赤面しつつ口元を引きつらせて言い返し、店の奥へと向かっていった。失笑しつつその姿を見送った私は、今度はアキちゃんに向かって謝る。
「ごめん、アキちゃん」
彼は一瞬ショックを受けたような顔をしたあと、寂しげに口角を上げる。
