あたふたする私たちをよそに、彼は徐々に真面目な表情に戻って話を続ける。
「それがきっかけで、自分は身体の通り女子に反応するのかって思ったんだけど、大学に行っても誰に対してもダメだった。りっちゃんに対してだけなんだよ、特別な気持ちになるのは」
長めの前髪がかかる澄んだ瞳が、私をまっすぐ捉える。
「オレはたぶん、男とか女とか関係なく、吉越六花っていう人間が好きなんだ」
真剣に告白されて、心臓がひと際大きく拍動した。
思えば私は、告白されたのは中学の頃以来だ。あの頃は恋とか愛とかわかっていなかったから実感がなかったけれど、今は違う。自分を好きになってもらえるって感激するものなんだな……。
一度まつ毛を伏せて小さく息を吐いたアキちゃんは、心なしかすっきりした面持ちになったように感じる。
「成人式はひとつの区切りになるし、けじめをつけたくて正直な気持ちをりっちゃんに伝えようって決めてたんだ。今日、男の姿をしてきたもうひとつの理由もそれ。少しは男として意識してもらえるかなって」
グラスを手に取ってビールを口に運ぶ彼を見つめ、すべてに納得して相づちを打った。



