「女性に憧れて女装をしてるけど、完全に女になりたいわけじゃない。男の格好をすれば気持ちも男になるし、この身体も別に嫌じゃないから。どっちにもなれるって逆に便利かも、って最近は思えるようになってきたんだ」
アキちゃんが男女どちらにも当てはまらない、いわゆるXジェンダーであるのは私も小夏も理解しているのでこくこくと頷く。
「ただ、恋愛が難しくてね。自分は男が好きなのか、女が好きなのか、ずっとわからなかった」
複雑な表情になっていく彼を見て、はたと気づいた。それは私たちもよくわかっていなかった部分だと。
これまでアキちゃんは女心に共感してくれたり、『あの人イケメン!』と盛り上がったりしていたから、恋愛対象は男性なのかなとなんとなく思っていた。
私たちと接するアキちゃんはずっと女性だったからそう思っていたわけだが、今日のように男性でいるときはどうなんだろう。
よく考えれば、彼自身の真剣な恋の話は聞いたことがない。自分の性が揺らいでしまうのだから、好きになる相手もどちらの性別なのか難しいよね。
理解が足りなかったことを申し訳なく感じていると、アキちゃんは私を見つめて問いかけてくる。



