「小夏、大好きだよ。ありがとね」


 ちょっぴりもらい泣きしそうになりながら告げると、彼女は「ふぇ~」と情けない声を上げる。


「アキ〜、男になって慰めてよ」
「アタシは高くつくよ?」


 泣きつく小夏と、その肩を抱くアキちゃんに笑っていると、今度は瀧さんがやってきた。聖さんに負けないくらいスタイルも顔もいいので、ブラックスーツ姿も当然ながらカッコいい。

 私たちに「おめでとう」と爽やかに声をかけたあと、ふと気づいたようにアキちゃんをまじまじと見る。


「昌ちゃんって本当に綺麗だよね。事務所に来たときも美形だな~と思ってたけど」


 感心したような調子で率直に言う彼に、アキちゃんはぱちぱちと瞬きする。次いで頬がぽっと染まった……気がした。あれはたぶんチークではない。

 彼女は真面目な顔で、持っていたスマホをさっと掲げる。


「連絡先聞いてもいいですか? 個人的に」
「え」
「相談に乗ってあげたら? 個人的に」
「えぇ」


 いたずらっぽく口角を上げる聖さんが続き、瀧さんは「冗談なの? 本気なの?」と戸惑っている。楽しそうにしているアキちゃんを見ると冗談っぽいけれど、彼女にもまた好きな人ができたらいいな。